ジョハリの窓とは一体どんな意味なのでしょうか?
ジョハリの窓は現在、企業の研修や就職活動の自己分析などでも取り入れられている心理学の手法です。
ジョハリの窓の意味と由来
「ジョハリの窓」とは「自分はどのような性質を持った人間なのか、主観・客観を用いて解釈していく心理学の手法」です。
現代ではビジネス分野、特に人事関連で活用されています。
ジョハリの窓の由来は?
「ジョハリ」と「窓」2つの単語が組み合わさってできています。
「ジョハリ」は、この手法を発表した研究者2人の名前が由来。
「窓」は縦軸と横軸で4つのブロックに分けた様子が窓に見えるのが由来です。
この2つが組み合わさり、「ジョハリの窓」という名前が付きました。
ジョハリの窓の4つの区分の意味
先ほど説明した通り、ジョハリの窓は4のブロックに分けられています。
「盲点の窓」や「秘密の窓」が大きい人、つまり項目が多い人は対人関係でストレスを感じやすく、反対に対人関係が良好な人は「開放の窓」が大きい、つまり項目が多くなる傾向にあります。
開放の窓
開放の窓は、すべての人に開放されている、つまり「自分も他人も認識している」=「共通の認識がある性質」
りゅうが自分を「元気」「活発」だと認識しており、れいなもりゅうを「元気」「活発」だと認識している場合、「元気」「活発」は開放の窓に配置されます。
開放の窓に多くの項目が集まった場合、周囲の人に自分の性質や能力をアピールできている、周囲がその性質や能力に気づいている傾向にあります。
秘密の窓
「自分は認識しているが、他人は認識していない性質」=「秘密の窓」
他人に知られたくないという思いから、意識的に周囲の人から隠している場合もあるため、トラウマやコンプレックスなどのデリケートな事柄の含まれることも。
複数人で行う場合は、トラウマやコンプレックスなどのデリケートな事柄への注意が必要です。
りゅうは自分を「楽観的」だと認識していますが、れいなはりゅうが楽観的だということを知りません。
この場合は、「楽観的」は秘密の窓に配置されます。
先ほど言ったように、自分が知られたくないとひた隠しにしていることもありますが、あなたの中に秘めた才能や能力など、プラスになるようなものは積極的に周りに知ってもらうのが良いでしょう。
盲点の窓
「自分は認識していないが、他人は認識している性質」=「盲点の窓」
れいながりゅうのことを「思いやりがある」と認識しても、りゅうにはその自覚がなかった場合、「思いやりがある」は盲点の窓に配置されます。
盲点の窓に多くの項目が集まった場合は、自分が自分のことを理解しておらず、自分のプラス面もマイナス面も気づいていない傾向にあります。
未知の窓
「誰も認識していない」=「未知の窓」
誰も認識していない部分を仕分けるのは、なかなかイメージできないでしょう。
ですが、「認識している、認識されている性質」と言い換えればわかりやすくなります。
りゅうもれいなも思いつかない「りゅうくんの性質」というのが未知の窓。
つまり、2人どちらも挙げなかった性質全てが未知の窓に配置されるのです。
未知の窓に集まった性質は、あなたが今後気づくことや認識することで、新しい自分に変化したり大きく成長したりするでしょう。
ジョハリの窓は何に役立つ?
ジョハリの窓は、より深く自分の性質を認識する、理解するための助けとなります。
また、他人から自分自身がどのように認識されているのかも可視化できるため、コミュニケーションを円滑にする効果も。
自己分析
自分は自分をどう認識しているのか、他人に自分はどう見えているのかをはっきりさせることで、自分の性質を知り、弱みや強みなどを知ることができます。
また、自分と他人の認識のズレを知ることもできます。
つまり、主観的、客観的な視点で自分の性質を知ることができるのです。
自己開示
「秘密の窓」はまだ他人と共有していない、できていない=自己開示をしていない性質です。
「他人と打ち解けるのが苦手」「なぜか人との間に壁がある」と思っている人は「秘密の窓」に多くの項目が集まっている傾向にあります。
さまざまな理由で他人に知られたくないことや言いたくないことも存在しますよね。
そのため、「秘密の窓」自体は悪いものではありません。
新しい自分を見つける
自分のことは自分が一番よく分かるという人もいると思いますが、いざどんな人物なのかと聞かれると戸惑う人もいるのではないでしょうか?
しかし、ジョハリの窓を行うと「自分が自分をどのぐらい理解しているのか」が目に見える形として表れます。
特に自分の認識していない、できない性質を「見える化」することで、新しい自分と出会えるでしょう。
ジョハリの窓のやり方
自分だけではなく他の人の意見や見方が必要なジョハリの窓。
とはいっても、なんとなく他の人には頼みづらいと感じる人もいるのではないでしょうか。
実は1人でも行うことができます!
ここでは1人で気軽にできる方法と、みんなでワイワイ行う方法をそれぞれ説明していきます。
1人でやる方法
1人で行う場合には、ウェブサイトやツールなどを利用することをおすすめします。
なぜなら、そういったものは他の人のデータを蓄積しているため、より正確かつ客観的視点の診断が可能だからです。
1人で行うメリットは何といっても他人に気兼ねをしなくていいこと。
他の人に知られたくないことも1人なら遠慮なく開示できますよね。
みんなでやる方法
みんなでやる場合には、既に配布されているテンプレートを利用すると1から作成する手間が省けます。
また、アプリなどもあるので有効活用してください。
みんなで行うと、周囲からどう見られているのかを直接聞けるのがメリットの1つです。
親しい間柄であれば、多少踏み込んだ話もしやすくなります。
一方で距離感を間違えてしまうと、お互いに傷つけてしまうリスクも。言葉を選びながら行うのがポイントです。
【簡単な手順はコチラ】
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14つの窓を作った集計用紙と、人数分の記入シートを用意
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2自分のシートに自分の性質や能力を記入
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3他のシートには、他の参加者に感じている性質や能力を記入
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4人数分記入し終わったら、該当の人物に渡す
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5自分のシートと他の参加者から受け取ったシートを、集計用紙に集計
集計が終わると、自分だけのジョハリの窓が完成します。
人数分の記入シートにはあらかじめ、性質や項目などをピックアップして番号を振るのがオーソドックスな手法です。
企業などによって専門の項目を組み込む場合も。
例としては以下のようなものがあります。
- 責任感がある
- 忍耐強い
- 協調性がある
- 頭の回転が速い
- 決断力がある
- コミュニケーション能力が高い
「責任感がない」などマイナスな表現はやめ、「責任感ある」などプラスの表現にするのがポイント。
そうすることで、参加者は項目選びをスムーズに行うことができます。
責任感がないと思えば、「責任感がある」の項目をスルーすればいいだけですからね。
上記で説明した、性質や項目などをピックアップして番号を振る方法の集計方法をご紹介します。
これで、ジョハリの窓の集計は終了。
この結果をもとに参加者でディスカッションし、自己開発をしていきます。
ジョハリの窓を行う際の注意点
ジョハリの窓は自己分析に役立ちますが、前述のとおり言葉の選び方や言い方次第で関係性を破綻させてしまうおそれもあります。
否定的・マイナスな側面に言及する際は細心の注意が必要です。
もし、そのような内容に触れることになった場合には、ポジティブに言い換える・むやみやたらに相手を否定しないなどの配慮を忘れないようにしましょう。
企業研修で「ジョハリの窓」理論が導入される目的
企業研修でもジョハリの窓が導入されているところがあります。
その目的としては下記などです。
- 自身について深く知ることで自分に適した仕事に対する向き合い方を考えてもらう
- 職場内での人間関係を円滑にする
性質がわからない相手と接するよりも、ある程度どんな性質なのか理解できている相手の方がコミュニケーションもとりやすいですよね。
ジョハリの窓まとめ
ジョハリの窓は比較的簡単で取り入れやすい自己分析の手法と言えるでしょう。
注意点さえしっかり守れば、私たちの強い味方になってくれますよ!
【豆知識】浄玻璃(じょうはり)の窓とは無関係
実はジョハリの窓と似たような単語に「浄玻璃(じょうはり)の窓」があります。
浄玻璃の窓は、地獄の閻魔(えんま)王庁にあり、死者が生前、何をしていたのかすべての行いを映し出す鏡です。
善悪の見きわめに使用する鏡であり、ジョハリの窓とは無関係。
偶然似たような名前になったようですね。