心理学で言われるカチッサー効果とはどんな意味なのでしょうか?
カチッサー効果の意味や実験・活用方法をご紹介します。
カチッサー効果とは?
カチッサー効果とは、外部からの働きかけによって、深く考えることなくしに行動してしまう心理現象のことです。
カチッサー効果の語源は、テープレコーダーの再生ボタンの「カチッ」という音と、その後に流れる「サー」という砂嵐の音です。
カチッサー効果の実験とは?
心理学者のエレン・ランガーが行った有名なコピー機の実験があります。
【実験内容】
コピー機の順番待ちの列の先頭の人に、先にコピーを取らせて欲しい旨を3通りの文言で伝える。
- 「5枚なのですが、先にコピーを取らせてもらえませんか?」と、要求のみ伝える。
- 「5枚なのですが、急いでいるので先にコピーを取らせてもらえませんか?」と、本当の理由を付け足す。
- 「5枚なのですが、コピーを取らなければならないので先にコピーを取らせてもらえませんか?」と、もっともらしい理由を付け足す。
【実験結果】
- の場合の承諾率が60%
- の場合が承諾率が94%
- の場合は承諾率が93%
心理学者のエレン・ランガーが行った有名なコピー機の実験では、相手に何か頼み事をする際に何かしらの理由を付け足すだけで、その理由に関わらず承諾率が飛躍的に上昇することがわかりました。
ここで、注目したいのは「コピーを取らなければいけない」という理由は「急いでいる」という理由と違い、順番を譲ってもらうために直接関係する訳ではないのにも関わらず、承諾率が上昇している点です。
「コピーを取らなければいけない」という理由をつけた方は、別に急いでいるという情報はないため、先にコピーを取らせてあげる必要はありません。
コピー機に並んでいる人もコピーを取らなくてはいけないのは同じだからです。
カチッサー効果は失敗する場合もある
実はカチッサー効果は、何か頼み事をする際に何かしらの理由をつければ何でも承諾率が上がるというわけではありません。
コピー機の実験の例えでは、コピーを取りたい枚数が「5枚」でしたが、これが「20枚」になると承諾率がかなり下がるという結果が出ています。
【実験内容】
コピー機の順番待ちの列の先頭の人に、先にコピーを取らせて欲しい旨を3通りの文言で伝える。
- 「20枚なのですが、先にコピーを取らせてください。」と、要求のみ伝える。
- 「20枚なのですが、急いでいるので先にコピーを取らせてください。」と、本当の理由を付け足す。
- 「20枚なのですが、コピーをとらなければいけないので、先にコピーを取らせてください。」と、もっともらしい理由を付け足す。
【実験結果】
- の場合の承諾率が24%
- の場合が承諾率が42%
- の場合は承諾率が24%
この実証結果のように、頼む要求が相手にとって困難な場合は、カチッサー効果は発揮されにくくなることがわかりました。
そして、頼む要求が難しくなるにつれて、添える理由も、あまり理由として受け入れられないものの場合、承諾率が下がってしまうようです。
もし、簡単な要求であれば、適当な理由であっても承諾してもらえますが、難しい要求を承諾されたいのであれば、それ相当の理由付け考えて発言することが良いのかもしれません。
カチッサー効果の具体例
依頼が承諾されやすくなる
心理学者のエレン・ランガーが行った実験からもわかるように、人間は何かしらの理由が添えられているだけで依頼を受け入れやすくなります。
「○○だから××して欲しい」、「○○したいので、××をお願いします。」など、何かしらの理由を添えるだけで、依頼は承諾されやすくなります。
希少性に価値を感じる
希少性が高いものには自然と価値を感じ、実際価値があるとして値段も高くなる傾向にあります。
これもカチッサー効果の1つです。
「コンビニ限定」や「期間限定」などの謳い文句があるとついつい手を出してしまう人も多いのではないでしょうか?
好意を持っている人やものに影響される
人間は自分が好意を持っている人やものが発信する情報に大きな影響を受けます。
人気芸能人がプロデュースした商品が大ヒットしやすいことなどが例です。
最近流行しているインフルエンサーマーケティングも、この効果を利用しています。
共通点がある人やものに好印象を抱く
人間は自分と共通点を持つ人やものに対して親近感を憶え、良い印象を抱きやすくなります。
初対面の人とでも、出身地が同じだったり最寄駅が同じだったりすると一気に距離が縮まることがあるのはカチッサー効果が理由です。
周囲の人の判断を行動基準にする
「大流行中」「みんながハマった〇〇」など、自分以外の大勢が支持している物事に関して人間は良い印象を抱きやすいです。
カチッサー効果の活用方法
恋愛編
デートに誘うときは理由をつける
単に「ご飯に行こうよ」「遊びに行こう」と誘うのではなく、「素敵なお店を見つけたから一緒に行かない?」「新しくできた〇〇が気になるから一緒に行こう」というように理由をつけて誘うことで、断られる確率がグッと下がります。
特に、デートに誘う相手の興味のあるお店や話題を理由にすることでより、OKしてもらいやすくなります。
類似性を演出する
好きな相手との共通点を積極的にアピールすることで、相手はあなたに対して好印象を抱きます。
人間は自分に似た部分を見つけると自然と良い印象を抱くようにできているからです。
仕事編
営業での応用
例えば相手に話を聞いて欲しいとき、「少しでいいので話を聞いてください」とお願いするよりも「短いお話なので聞いてください」といったように「〜〜なので」と理由を付け足すだけで相手に話を聞いてもらえる確率がグッと上昇します。
また自社製品を勧める際に「商品の素晴らしさ」を伝えるだけでなく「なぜこの商品が素晴らしいか」という理由付けをすることで説得力が増し、聞き手に好印象を与えることができます。
マーケティングへの応用
カチッサー効果をマーケティングに応用する際は、希少性や類似性に焦点を当てると良いでしょう。
「〇〇個限定」「〇〇名様限り」といったように商品に希少性を持たせることで消費者は自然とその商品が価値が高いものだと認識します。
また「△△な人におすすめ」というように具体的にターゲットを絞ることで消費者は宣伝文句と自分との間に共通点を見出し、好印象を抱いたり興味関心を持ったりしやすくなります。
カチッサー効果まとめ
外部からの働きかけによって、深く考えることなく行動してしまう心理現象をカチッサー効果といいます。
何かしら理由付けをされると依頼を承諾しやすくなる例が代表的です。
その他にも希少性が高いものに価値を感じたり、自分と共通点があるものに自然と好印象を抱いたりすることもカチッサー効果の具体的な例です。
本記事のチェックポイント
- 外部からの働きかけによって深く考えることなく行動してしまう現象
- 簡単な理由を添えるだけで依頼を承諾しやすくなる
- 希少性や類似性があるものに自然と好印象を抱く