カリギュラ効果とは?
カリギュラ効果とは「禁止されるほど、やってみたくなる心理現象」を意味します。
「○○したらダメ」と言われたら余計に○○したくなる、という経験はみなさんにもあるのではないでしょうか?
カリギュラ効果の語源とは?
1980年、アメリカとイタリアの合作映画「カリギュラ」がアメリカで公開されました。
映画「カリギュラ」は皇帝カリギュラを描いた作品であり、カリギュラは主人公のローマ帝国皇帝で、初代皇帝アウグストゥスの曾孫に当たる人の名前です。
皇帝カリギュラは残忍で浪費癖があり淫蕩であったと言われています。在りし日の彼を描いた映画は歴史大作と銘打って公開されましたが、実際の内容はハードコアポルノだったのです。
アメリカで公開された映画「カリギュラ」は、残虐なシーンや性的なシーンが多く、過激な内容だったためにマサチューセッツ州ボストンほか一部の地域では公開禁止となりました。
しかし、公開禁止となったことで逆に話題となり、「カリギュラ」は大ヒット。この一件にちなんで「カリギュラ効果」という言葉が生まれました。
ちなみに、「カリギュラ効果」は日本でのみ使われる言葉で、実験心理学においては「心理的リアクタンス」という言葉が使われています。
「リアクタンス」とは「抵抗」という意味です。
カリギュラ効果の具体例
押すなよ! 絶対押すなよ!
有名なフレーズの「押すなよ!絶対押すなよ!」もカリギュラ効果の1つです。
みなさんご存じのお笑い芸人ダチョウ俱楽部さんの定番ネタは、もはや様式美とさえ言えます。最終的には必ず押しますし、お客さんも押すことを期待していることでしょう。
「押すなよ」と言われると押したときのことを想像してしまいますし、実際にその展開を見たくなるのです。
絶対に笑ってはいけないシリーズ
同じお笑いのジャンルでは「絶対笑ってはいけないシリーズ」というのもあります。
笑ってはいけないシリーズは、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」の特別番組で禁煙では年末に放送される番組の名称です。
笑ってしまうとバッドでお尻を叩かれたり吹き矢でお尻を刺されたりなどの罰があるため、「絶対に笑ってはいけない」と言われています。
しかし、「笑ってはいけない」と言われると笑いがこみ上げてしまうのは、やはりみなさんご存じの通りです。
パンドラの箱
ギリシア神話に登場するパンドラという女性は、神々から決して開けてはいけない箱を与えられました。
しかし、パンドラは好奇心に負けて箱を開けてしまいます。神々から「決して開けてはいけない」と言われたことが、パンドラの好奇心を刺激してしまったのでしょう。
パンドラの箱からは疫病や悲嘆や罪など、あらゆる災厄が飛び出し世界に広がっていきましたが、パンドラが慌てて箱を閉じると、そこには希望だけが残りました。これが「パンドラの箱」の物語です。
鶴の恩返し・浦島太郎
日本の民話にも似たお話がいくつあり「決してのぞいてはいけません」と言われたのにのぞいてしまった「鶴の恩返し」や、「絶対に開けてはいけません」と言われたのに開けてしまった「浦島太郎」などがあります。
ロミオとジュリエット
シェークスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」は悲恋物語です。
代々対立しているモンタギュー家の一人息子ロミオとキャピュレット家の一人娘ジュリエットが互いに恋をしてしまいます。
禁じられた恋だからこそ余計にお互いが熱くなったことから、カリギュラ効果は「ロミオとジュリエット効果」とも呼ばれることもあります。
ピー音
テレビで時折聞く「ピー」という音。テレビでは放送できない言葉にかぶせられるアレです。
ポピュラーなものは「ピー」という音ですが、「ズギューン」という発砲音だったり「ピヨピヨピヨ……」という電子音だったりすることもあります。
放送禁止用語や問題発言などが含まれていると「ピー音」がかぶせられる訳ですが、視聴者はそれを知っているので「えっ、いま何言ったの?」とむしろ興味を持ってしまいます。
閲覧注意
インターネットでときどき見かける「閲覧注意」という言葉。
みなさんも目にしたことがあるでしょう。
「気が弱い人は見てはダメ」とか「グロいから見たらダメ」とか、理由はいろいろありますが、そのように「禁止」や「制限」をされてしまうと見たくなるのが人の常です。
現実世界で悪影響を及ぼすカリギュラ効果
カリギュラ効果が悪影響を及ぼしてしまっている例はたくさんあります。
いくつかピックアップしてご紹介します。
ダイエット
ダイエットする際に「高カロリーのものは食べてはダメ」、「甘いものを食べてはダメ」など禁止や制限を設けている人は多いのではないでしょうか?
しかし、この禁止や制限はカリギュラ効果を引き起こし、むしろ高カロリーや甘いものを欲してしまいます。
その結果、「ダイエットは明日から」なんてことなる場合も。
禁止や制限を設けるのではなく、「○○はOK」や「朝なら食べてもOK」など許可するようにしましょう。
禁煙
「禁煙」とは「煙草を禁止する」ことです。先の項でも述べたように、「禁止」されるとなおのことしたくなってしまうのが人間の心理。
「吸ったらダメだ」と思うほど吸いたくなってイライラしがちです。
身近な人が禁煙に取り組んでいるときは「がんばろうね」と励ましたり、「本数が減ってきているね、がんばっているね」とほめてみたりしましょう。
そうすると「もっとがんばってみようかな?」という気になったりします。
ビジネス
ビジネスのカリギュラ効果は、消費者の立場で体験することが多いかもしれません。
たとえば通販番組で「いまから30分間限定の販売」だとか、あるいは近所のスーパーマーケットで「本日限りの特別価格」だとかのアピールがあると、「買わなきゃ!」という気持ちになったりしませんか?
「いまから30分を過ぎたらもう買えない」、「明日以降は通常価格でしか買えない」という「限定」によってカリギュラ効果を生み出し、商品の購入を促しているのです。
「買え」という強要ではなく、「いまだけ買える」という制限が購入意欲につながります。強要はかえって意欲を失わせてしまうのです。
恋愛
恋愛においてもカリギュラ効果は力を発揮します。
たとえば交際を申し込まれたら、すぐにはOKしないことです。
「嫌」や「駄目」な直接的な拒否をするのではなく、「別の日なら仕事の予定を組みなおせば会えるかも」などと「制限」をつけるのです。
「このときだけ会える」となると、さらに会いたい気持ちが高まるでしょう。
何度も会うことにつながります。
カリギュラ効果まとめ
カリギュラ効果は身近にたくさん仕掛けられています。
知らないうちにカリギュラ効果に影響を受けてしまうこともあるでしょう。
しかし、上手に利用すれば禁煙やダイエットや恋愛を成功させるなどのメリットを自ら生み出すこともできます。よく理解して日常に役立てていきましょう。
カリギュラ効果チェックポイント
- カリギュラ効果とは、禁止されると余計にやりたくなる心理のこと。
- 語源は映画「カリギュラ」
- カリギュラ効果は物語やテレビや日常生活の中にたくさんある。
- 上手に利用するとメリットを生み出せる。