カタルシスの意味と語源って何?
カタルシスは「無自覚に我慢していた不満やストレスを発散する」という意味です。
語源はギリシャ語の「排泄・浄化」を意味する単語。排泄も浄化も、自分にとっていらないものを自分の外側に出すという点では共通していますよね。
「いらないものを外に出す」という元々の意味から発展して、心理学や精神医学で現在使われているような意味を持つようになったのです。
精神科医フロイトとの関連
皆さんは「フロイト」の名前をご存知でしょうか?フロイトとは精神医学を語る上で避けては通れない人物であり、カタルシス効果を発見・確率した人物です。
カタルシス効果をフロイトが発見・確立するきっかけとなったのは、弟子であるブロイラーが診察していたアンナ・Oの事例です。
アンナ・Oの事例とは?
アンナ・Oは成人してから、様々な身体的・精神的症状に悩まされてきました。
その1つに「コップから水が飲めない」ことも含まれていたのです。
あるとき、アンナ・Oは「かつて嫌いな家庭教師が犬にコップの水を与えていた」ということを思い出します。
それを彼女自身が自覚しブロイラーに語ると、なんと今まで飲めなかったはずのコップの水が飲めるようになるという不思議な現象が起きます。
しかし、当然ですが不安やストレスを感じても相談できるかは人それぞれであり、アンナ・Oのように忘れているケースも考えられますよね。
そこでフロイトは「無意識のうちに抱えている悩みやストレスを意識させ、発散させる治療法」として精神医療におけるカタルシスを用いた多くの治療法を確立したのです。
フロイトとブロイラーの「カタルシス療法(催眠浄化法)」
アンナ・Oの事例からフロイトとブロイラーは「カタルシス療法(催眠浄化法)」という、催眠を使って本人も認識していないストレス源や悩みを引き出し、カタルシス効果で浄化するという治療法を生み出しました。
出会ったばかりの人から「催眠を使った治療法がある」と聞いたら、多くの人は怪しみ、信じることはないでしょう。
ですが、もし自分のことをよく知っていて、信頼をおいている人から「催眠浄化法というものがあるらしいよ」と言われた場合を考えてみてください。
「この人がそういうなら、ちょっと試してみようかな…」と真剣に検討する人も出てくるはずです。
カタルシス効果とは具体的にどういうもの?
身近なカタルシス効果で具体例を取り上げてみましょう。
毎日残業続きで友達と遊ぶ暇がない......そんな時に何気なくスマホでSNSを開くと
「残業代ばっかり稼げてもプライベートな時間がなければ意味がないと抗議したら、労働環境が改善された!今は仕事もプライベートも充実してる!」
と書いている人が......その文章を見た瞬間考えが変わりました。
「そうだ、残業に追われて帰っては寝る毎日の繰り返しだ。会社にはっきりと抗議したこの人はすごい!自分も会社に抗議してみよう!」
このように自分ではない他者に自身を重ね合わせ、今まで気づいていなかったストレスや不満、感情を自覚、そしてなぜだかわからないけどスッキリした経験はありませんか?
他者に自己投影することで、今まで無意識に抱えていたストレスが間接的に発散されるのもカタルシス効果です。
カタルシス効果を日常生活で応用する方法とは?
なかなか人に相談できない悩みや、今更言っても仕方がないと諦めて忘れかけていたストレス。それを日常生活で手軽に浄化する方法に「自分以外の人のストーリーに触れる」ことが挙げられます。
映画やドラマ、エッセイなどのノンフィクション、小説、漫画…様々な媒体がありますが、自分の好きなものを選びましょう。
自分とどこか重なるような登場人物が出てくるものが見つかったら、その作品に触れることでカタルシス効果を得ることができます。慣れてくると、自分のストレスをある程度コントロールすることが可能になるでしょう。
自分がカタルシス効果を得られたからといって、他人もそうとは限りません。
先程も述べた通り、悩みやストレスは人によって異なります。そして内容によって、どのような解決・改善策が適切かも変わってくるので、他人に自分の価値観を押しつけるのはやめましょう。
もちろん、身近な友人に感情移入をするあまり暴走し、友人本人の気持ちを蔑ろにしたまま迷惑を掛けるのは言語道断です。
カタルシス効果を生活に取り入れよう!
カタルシス効果自体は、普段蓋をしてしまっているストレスを解消するのに有効な手段です。
また、本格的な治療のように専門家が必要なものを除き、ちょっとしたストレス発散を目的としたものであれば、自宅でも簡単に実践することができます。
ストレスを溜めがちな方はぜひカタルシス効果を日々の生活に取り入れてみてください。
カタルシス効果チェックポイント
- カタルシスは『無自覚に我慢していた不満やストレスを発散する』という意味
- カタルシス効果は精神医学の治療にも使われている
- カタルシスを用いた「カタルシス療法(催眠浄化法)」には信頼関係が不可欠
- 自宅でも手軽にカタルシス効果を得ることはできる