※本記事では、蓮コラなどの集合体の写真及びイラストの掲載を行っておりません。ご安心ください。
トライポフォビアとは?
トライポフォビアは集合体恐怖症とも呼ばれ「皮膚の発疹など密接して無数に開いた穴や斑点、あるいは発疹など、「何らかの集合体に対して嫌悪感や恐怖感を感じる心理状態」を指します。
トライポフォビアの対象となるの代表的なものには以下のものがあります。
- ハスの花床(花托)
- 蜂の巣の穴
- 苺の表面の凹凸
- キツツキが開けた穴
- スポンジや軽石の表面の無数の穴
- カエルの卵
- 皮膚の発疹など
トライポフォビアは現時点ではまだ病気として認められていませんが、このような集合体に対して嫌悪感や恐怖感を感じる人はとても多いです。
そのため、注目を浴び、現在、欧米を中心に研究が進められています。
トライポフォビアの由来
トライポフォビアの由来はギリシャ語と英語であり、「トライポ」はギリシャ語、「フォビア」は英語の造語です。
トライポフォビア(trypophobia)は、2005年に命名されました。
「trypo」はギリシャ語で「穴・穴開け・穴掘り」を意味し、英語の「phobia」は「恐怖症」と訳される言葉です。
トライポフォビアの症状
トライポフォビアの症状には、主に以下のような症状があります。
- 嫌悪感からくる不快感
- 恐怖感
- 身震い
- 鳥肌
- 寒気
- めまい
- かゆみ
- 動悸
- 息切れ
- 自律神経症状など
症状のレベルには、軽い不快感から吐き気を感じる人まで幅広く、あまりにもショックが強すぎると気絶してしまう人もいるそうですが、稀なケースといえます。
トライポフォビアの原因
トライポフォビアの原因はまだ解明できていません。
しかし、危険回避をキーワードとして、2つの説が存在します。
- 先天的に遺伝子へ組み込まれているとする説
- 後天的な危機回避反応であるとする説
先天的に遺伝子へ組み込まれているとする説では、危険回避的な本能として、遺伝子に組み込まれており、後天的な危機回避反応であるとする説では、成長過程で学習したとする考えです。
天然痘やはしかといった命に関わる感染源や、群生する寄生生物、猛毒を持つヒョウモンダコや蜂といった危険生物は、いずれもトライポフォビアの代表的な対象と関連する特徴を持っています。
このことから、人類は危険から身を守るために、自然と恐怖心を抱くのではないでしょうか?
トライポフォビアの克服・治療方法
トライポフォビアに限った治療法というのは存在しませんが、一般的な恐怖症に用いられる方法ならいくつかあります。
トライポフォビアは詳しい原因が不明なため、専門家によって見解も違い、現時点では特に治療法が確立していません。
ここでは、これまでに広く知られている他の恐怖症に用いられるような対応方法や克服・治療方法を応用した方法をご紹介します。
できるだけ見ないようにする
対象となりそうなものを日常の中で、できるだけ見ないようにするという方法があります。
現時点でのストレス状況によって、集合体に過敏に反応してしまう時には、できるだけ見ないようにするこの対処法でいいでしょう。
しかし、一時的な対処法であり、根本的な治療にはなりません。
意識をそらす
トライポフォビアだけではなく、恐怖症は人の意識を介して伝染するケースがあることも指摘されています。
意識しすぎるということが人の反応に与える影響は、大きいようです。
徐々に慣らしていく
嫌悪感や恐怖を感じる対象と対面する時間を徐々に長くしていき、少しづつ慣らしていくという方法もあります。
慣れるまでに時間はかかりますが、完全に避けようとするよりは着実に耐性がついていきます。
暴露(ばくろ)療法を試す
暴露療法は「エクスポージャー療法」とも呼ばれ、実際の治療にも用いられる精神療法です。
不安を覚える強度の低いものから高いものを書き出して「不安階層表」という表を作り、不安の少ないレベルのものから順に呈示して、段階的に慣れていくという方法です。
恐怖心を受け入れる
「森田療法」では、恐怖症の対象への恐怖心や嫌悪感を生きるために必要な生体反応として受け入れ、排除することをやめ、「あるがまま」という姿勢をとることを基本とします。
森田療法による治療で実際に、さまざまな恐怖症を克服したケースも数多く報告されており、効果の高い治療法のひとつといわれています。
トライポフォビアまとめ
日常生活に支障があるほど症状が深刻なら、治療の必要があるかもしれませんが、ほとんどの場合は、治療の必要はありません。
また、精神医学では、恐怖症は日頃から不安が強い人に発症しやすいことが分かっていますが、これらはカウンセリングや心理療法で改善することも可能です。
本記事のチェックポイント
- トライポフォビアは集合体恐怖症のこと
- ギリシャ語と英語を組み合わせた造語
- 主に自律神経系の症状が出る
- 原因はまだ不明だが諸説ある
- 治療法も特に確立されていない